医療機器の法規制コンプライアンス

規制不遵守による製品リコールや調査が発生した場合、医療機器企業は数百万ドルの罰金や手数料を負担する可能性があります。具体的には、規制コンプライアンスを維持するために、医療機器企業は開発および製造に関する文書の他に、例えばISO13485で定義されている機器履歴簿(DHR)を保管する必要があります。

トレーサビリティの目的のため、医療機器ベンダーは、機器使用に関連する質問は即座に回答することが要求されます。これらの質問にすぐに回答できれば(例えば、米国連邦規則集21CFR821では10日以内の回答)、規制当局による懲罰措置を避けられることがあります。以下のような質問に回答する必要があります:

  • どのバージョンを使っていたか?
  • いつ そのバージョンをインストールしたのか?およびいつ使用したのか?

これらの質問に定められた期間内に答えられない企業は、おそらくコンプライアンス違反とみなされます。

しかし、医療機器がソフトウェアを使用している場合には朗報があります:ソフトウェア・エンタイトルメント管理システム(EMS)は、どのバージョンでいつ使用されたかというデータをトレースすることができ、したがって機器履歴簿に必要な情報を提供する上で重要な役割を果たします。

ケーススタディ

欧州のある医療機器メーカーは、組み込みソフトウェア搭載医療機器の販売を開始したが、その履歴を完全に追跡する手段を持っていませんでした。そして、不幸にも製品回収の必要性が生じました。これはこの会社にとってトラブルの種となりました。不完全なDHRでは、ユーザーにリコールについて連絡し、警告することができませんでした。

その結果、コンプライアンス調査と補償金支払いのため、罰金と手数料として8億ドルを支払いました。同社は、一部の機器がまだ活発に使用されているかさえ知りませんでした。もし記録管理の仕組みがあれば、8億ドルもの損失を受けることはなかったでしょう。現在では、Thales Sentinel のエンタイトルメント管理システムを導入し、将来このような損失が出ないようにしています。

どのようにエンタイトルメント管理システムが医療技術コンプライアンスを支援するのでしょうか

エンタイトルメント管理システム(EMS)は、ライセンスを提供し、機能や性能を利用する権利を付与するために使用されます。医療機器ソフトウェアプロバイダーにとって、EMSは以下のような方法でコンプライアンス違反の罰金を回避するのに役立ちます:

1.暗号化

実績のあるライセンシングとエンタイトルメントのプラットフォームは、医療機器とそのソフトウェアの悪意あるハッキングを防止し、暗号化された安全で改ざん防止済みライセンスキーを提供します。これはメーカーが期待するデバイスの正確な動作の実行に役立ちます。

2.メンテナンスの監査証跡

EMSは、ユーザーの役割に関する詳細な監査証跡を作成し、誰がいつ情報にアクセスし、変更したかを記録します。このデータは、情報漏えいが疑われる場合の調査に極めて重要であり、規制当局に対してコンプライアンスの取り組みを証明する責任ある方法です。

3.製品カタログ

医療機器メーカーは、ハードウェアや電気部品、組み立て、ゴムチューブの種類など、機器の構造に関する情報を記録する必要があります。万が一、リコールや修理の必要性が生じた場合、問題のある製品や機器は、欧州医療機器規則(MDR)と米国FDAの両方が要求している一意の機器識別子(Unique Device Identifier:UDI)によって特定することができ、これらのUDIのデータベースも提供されています。EMSの権利または製品カタログから機器のUDIを参照することで、問題のある機器を迅速に特定し、ユーザーに通知し、CAPA(是正措置・予防措置)のためにラベル付けすることができます。

4.コンプライアンスに特化した機能の実施

EMSは、規制に違反する可能性のある機能へのアクセスを制限するよう設定することも可能です。例えば、EMSをソフトウェア・ライセンシングシステムと組み合わせることで、コンプライアンス違反のマーケティングやデータ共有のための機能へのアクセスを制限したり、地域ごとの規制に準拠するために機能セットを場所ごとに管理したりすることができます。

5. バージョン管理とコンプライアンスの更新

EMSは、異なるバージョンのソフトウェアを容易に管理し、許可されたユーザーが準拠したバージョンにのみアクセスできるようにすることができます。これはセキュリティの脆弱性に対処するため、または進化する規制により要求される変更を取り入れる更新が行われる場合に特に役立ちます。

概要

エンタイトルメント管理システムは、医療機器規制を遵守するための強力なツールです。これによりソフトウェア・プロバイダは、アクセスや機能性を積極的に管理することができ、コンプライアンス違反による多額の罰金や、その結果としてのブランド評価の低下の可能性を減らすことができます。結論として、適切なEMSを選択することで、医療機器ソフトウェアプロバイダーの規制不遵守のリスクを軽減することができます。