State of Software Monetization 2022 (2022年ソフトウェア収益化の情勢)
ソフトウェア業界およびソフトウェア駆動型デバイス業界は猛烈な勢いで進化していて、2022年を迎える今、いずれのベンダーにとっても、市場競争はかつてないほどに激化しています。成功を収める企業は今後1年間、新たなテクノロジーの統合と、長年抱える課題の解消に注力することでしょう。
Thales Sentinelは、30年あまりにわたってソフトウェアベンダー、デバイスベンダーとともにこの市場を歩んできました。当社は、トレンドの変遷がビジネスの進化にどう影響するのかを熟知しています。それが、最新レポート「Embracing Change with Software Licensing (ソフトウェアライセンシングの利用がもたらす変化への対応):State of Software Monetization 2022 (2022年ソフトウェア収益化の情勢))」をお届けする理由です。このレポートは、500社以上の独立系ソフトウェアベンダーおよびデバイスベンダーを対象に実施した調査に基づいています。顧客の期待が高まり、ビジネスインテリジェンスが進化する中、各社がデジタルトランスフォーメーションをどのように舵取りしているのかを明らかにすることを目的にしています。当社のゴールは、皆様にこれからのトレンドと変化を深く理解していただくことです。この理解は、ビジネスを前進させる戦略的意思決定に欠かせません。
最大の価値を享受していただけるよう、今すぐレポート全文をダウンロードしてください。 時間が足りませんか?要点を以下にまとめました。
目的地はSaaS、そこへ連れて行ってくれるのはハイブリッド
2014年初め、ソフトウェア収益化の状況に関する初期のレポートに着手した時点で、コネクティビティはすでに市場の前提になりつつありました。ちょうどクラウドコンピューティングが業界に本格普及し始めた時期です。今日に至っても、as-a-Serviceエコノミーの持つ力が十分に理解されているとは言えません。当時、クラウドを通じてSaaS (Software-as-a-Service)を配信していた独立系ソフトウェアベンダーおよびデバイスベンダーは全体のうち33%にとどまっていました。
今日では、その数字は倍近い65%に達しています。クラウドがオンプレミスアプリケーションに代わりうる安定性を備えていることが実証され、今となってはその優位性が明確になっています。とはいえ、市場のすべてのプレーヤーがこの大きな変革を遂げられるわけではなく、一部はその準備も十分に整っていません。まだクラウドでの配信に到達していないプレーヤーにとっては、ハイブリッドがゲームチェンジャーとなります。
オンプレミスソフトウェアでSaaSのようなカスタマーエクスペリエンスを実現する
ハイブリッド型ライセンシングの主なメリット
- サブスクリプションでの価格設定
- 利用状況データにアクセス可能
- カスタマーセルフサービス
- ソフトウェア更新の自動化
- 製品の即時配信
ハイブリッド型クラウドライセンシングは、クラウドのライセンシングおよびエンタイトルメントプラットフォームに、既存のオンプレミスソフトウェアを組み合わせたものです。これは、ユーザーの慣れ親しんだカスタマーエクスペリエンスをSaaSソフトウェアでも実現できるようにします。興味深いことに、ハイブリッド型ソフトウェア配信が今回のレポートの中心的テーマの1つになっています。多くの企業が、ハイブリッドのアプローチを両者のいいとこ取りであると認識しているからです。
現在の顧客は、物事に容易さを求めています。いまだオンプレミスで運用しているソフトウェアベンダーおよびデバイスベンダーは、いかにして顧客満足度を維持できるのかに苦心し、いわば時間との戦いになっています。そこで、ハイブリッド型のクラウドライセンシングプラットフォームを導入すれば、完全に移行する場合に伴うコスト、複雑な作業、リスクを回避しながら、SaaS同様のカスタマーエクスペリエンスを実現できるようになります。オンプレミスソフトウェアの内部でハイブリッド型クラウドライセンシングを利用するメリットについてもっと詳しく知りたい場合は、このホワイトペーパー: ハイブリッドクラウドライセンシングをご覧ください。
契約の遵守と顧客離れ: 高まる緊張感
顧客に契約を遵守してもらうことと、最高のカスタマーエクスペリエンスを実現すること。両者のバランスをとるための指標について熟慮する企業が増えています。成長を極めて重視する企業であれば、顧客に不便を強いるおそれのあることはおそらく避けたいはずです。一方であなたは自社のビジネス運営を担っています。利益を上げるためには、何らかの有効な戦略を打たなくてはなりません。お金を払ってくれる顧客と、収益の取りこぼしを最小限に抑えること、これらを共に促進する戦略が必要です。
サブスクリプションエコノミーを適用するなら、考え抜かれたプロセスが必要です。契約遵守への要求と使いやすさのバランスをとるルールとワークフロー。これらから成るプロセスが欠かせません。
ソフトウェアの不正使用と収益の取りこぼしについて
90%が回答: 収益はライセンシング契約違反の影響を直に受ける。
82%が同意: ソフトウェアの不正使用への対処の度合いがビジネスに大きな影響を及ぼす。
84%が同意: ソフトウェアの不正使用に対処するときは、顧客に契約を遵守してもらうことも重要だが、同様に、顧客を確実につなぎ留めることも重要である。
カスタマーエクスペリエンスに影響を及ぼさずに収益の取りこぼしを防ぐワークフローをデザインする
よくあるシナリオを以下に示します。考えてみてください。1人の顧客が貴社のサービスをサブスクリプションで購入しました。支払は月ごとのクレジットカード決済です。ある月、クレジットカードの引き落としができませんでした。規則的には、そのサービスへのアクセスを未払いのユーザーに許すべきではありません。しかし決済できなかったせいでアクセスを禁止してしまうと、苦労して獲得した顧客が離れていきます。
どうしますか?
警告メールを送ったうえで、サービスへのアクセスを許可し続けますか?
即座にアクセスを遮断しますか?
それとも、顧客の満足感を維持しつつも支払を続けてもらうための妥協点を探りますか?
貴社は警告メールを送って、支払情報に誤りがないかなどの確認を求めるでしょう。貴社は、1か月に限りアクセスを遮断しないという条件を、顧客には示さずに定めておきます。メールを受け取った顧客は、すぐに支払情報を変更するなどの対処を行おうとします。今回の支払不履行は、貴社と顧客の長い関係におけるちょっとした手違いだったのです。顧客のつなぎ留めに成功しただけでなく、貴社の臨機応変な対応への評価も高まりました。
as-a-Service型のビジネスモデルでは、ソフトウェアライセンシングの契約遵守とカスタマーエクスペリエンスとの間で微妙なバランスをとる必要があります。ソフトウェアベンダーもデバイスベンダーも、このシナリオのような創意に富んだ解決方法を見つけて、支払情報や契約の更新、アップグレードを簡単で手間のかからないものにしておけば、収益を拡大させ続けることができます。
ソフトウェア利用状況データが意思決定を左右する
ソフトウェア利用状況データとは、販売後の製品が顧客にどのように利用されているのかについてベンダー側で収集する情報のことです。ソフトウェアベンダーおよびデバイスベンダーが収集できるデータの中でも特に利用価値の高いデータの1つです
利用状況データの種類
利用状況データを見れば、顧客が製品を実際どのように利用しているのかがよく分かります。
以下の情報が得られます。
- よく使われている製品はどれか
- 個々の機能がどれくらいの時間使われているのか
- 使われていない機能はどれか
- 顧客はどこにいるのか
- 利用頻度の高い期間と低い期間とがよく分かるパターン
- 試用から購入へ到るコンバージョン指標(アドオンを購入するまでに検討に要した時間など)
- 製品内で何が検索されているのか
ソフトウェア利用状況データと従量課金モデル
データは、近年急速な普及を遂げている従量課金モデルの要でもあります。利用状況データの記録は毎日収集でき、週次レポート、月次レポートの生成に活用できます。こうしたレポートは、利用率に応じて請求額を決めるのに必要な生データであり、従量課金モデルの礎と言えます。利用状況データを請求ソリューションに連携させて管理すれば、データ収集から請求書発行に到るまでのすべてを網羅した製品を実現することができます。
利用状況データの持つ潜在的メリットについて異論はないでしょう。しかし、それを実際に活用することは、多くの方々にとって大変なことであることが分かっています。ベンダーは今後、もっと着実な方法で利用状況データにアクセスする必要があります。加えて、従量課金制モデルまたはビジネスインテリジェンスにそのデータを活かす仕組みを作る必要もあります。
ソフトウェア利用状況データに関する業界の意見
88%が回答: 利用状況データによってビジネスインテリジェンスがどのように改善されるのか、よく分からない。
62%が回答: 収集した利用状況データを活用すればもっと良い仕事ができると思う。
ニューノーマルには新たなライセンシングソリューションが必要
ソフトウェアに対する消費者の期待が大きく変化したことは明らかです。アジリティ、フレキシビリティ、モビリティは今や世界のしくみとして取り込まれました。貴社のソフトウェアはそれに追従するか、それとも取り残されるかのどちらかです。
当社の調査によれば、かなりの企業がこの新たな現実にもがき続けています。オンプレミスソフトウェアが依然としてソフトウェア業界で大きな役割を担っているのは事実です。しかし顧客は、フレキシビリティとモビリティに富んだソフトウェア配信を望んでいます。
アフターコロナ、そしてニューノーマルの時代に、ソフトウェア業界はライセンシングのどのような課題に立ち向かうことになるのか
- ビジネスニーズを満たさず、フレキシビリティが欠如したライセンシング
- リモートワーカーをサポートすることの難しさ
- 複数デバイスにまたがるライセンシングの難しさ
- デプロイメント環境の混在が引き起こす複雑さ
ライセンシングとエンタイトルメントをつないで自動化する
パンデミックが始まってオフィスの照明が消えたとき、以前よりクラウドを活用していた企業は、自社の業務環境をスムーズにリモートアクセスに切り換えることができました。研究用ツールメーカーのパイオニアであるOxford Instruments は、まさにそれをなしえた企業の一社です。同社は、フレキシブルなソフトウェアライセンシング機能のおかげで、重大な局面でスムーズにリモートソフトウェアアクセスを実現することができました。その結果、期待を大きく超える素晴らしいカスタマーエクスペリエンスが得られました。同社はどのようにしてリモートソフトウェアアクセスを実現したのか、もっと詳しく知りたいときはケーススタディをお読みください。
ビジネスリーダーたちは現在果敢に、将来の混乱に対する計画を立てています。産業・業種を問わず、クラウドまたはハイブリッドクラウドにソフトウェアを接続しなければならないことは今や明らかです。クラウドセントリックのアプローチでライセンシングに取り組めば、クラウドセントリックな形でオンプレミスアプリケーションを利用できます。クラウドライセンシングもハイブリッドクラウドライセンシングも、特定の1台のデバイスに縛られるのではなく、ユーザーの行く先々へ追従することができます。このことはリモートワークの要となります。
それと同時に、ソフトウェアベンダーおよびデバイスベンダーは、フレキシビリティに伴う複雑さにも取り組むことになります。デプロイメント環境、パッケージ、価格設定を複数用意してフレキシビリティを高めれば高めるほど、ソフトウェアの運用は複雑化します。今後、複雑さを増す運用の単純化、合理化を図るためには、自動化が必須となるでしょう。
ソフトウェアの配信と収益化における次の計画を立てる
ソフトウェアの世界は絶え間なく進化します。この世界では、大胆な意思決定が強靱なビジネスを作ります。年次ビジネス戦略を仕上げる前に、State of Software Monetization Report 2022 (レポート: 2022年ソフトウェア収益化の情勢))の全文をお読みになり、業界のトレンドを十分に把握してください。