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ソフトウェアプロビジョニングの自動化によるSKUの増殖抑制が これまで以上に重要に

あるSaaS企業は、早急に解決しなければならない市場投入に関する問題を抱えていました。同社は複数の機能と設定可能な構成を備えた新製品のリリース段階にあり、同社ですでに扱っている何百ものSKUに加えて、何十もの新しいSKUを導入しようとしているところでした。新たに増えるSKUを手作業で管理するのは面倒で、時間がかかるものでした。

さらに悪いことに、製品のプロビジョニングとなると、それぞれ異なるSKUとそれに関連する機能に加えて、ライセンス条件をすべて把握するのはますます難しくなっていました。この混乱がプロビジョニングの遅れにつながり、最終的にはTTV(Time to Value:顧客が製品やサービスの利用を開始してから価値を実感するまでにかかる時間)を遅らせることになりました。

新製品のリリースを目前に控え、同社はシームレスな顧客体験を保証し、手作業を減らすソフトウェアプロビジョニングの新しいアプローチを必要としていました。

ここでは、ソフトウェアプロビジョニングがますます困難になっている理由を探り、SaaSにおけるリーダーたちによるソフトウェアプロビジョニングの課題への対処方法をいくつか紹介し、さらにそれぞれのソリューションの欠点も明らかにします。まずは、ソフトウェアプロビジョニングを定義し、それがSKU管理とどのように関連しているかを説明します。

ソフトウェアプロビジョニングとは?

ソフトウェアプロビジョニングとは、顧客のためにソフトウェアインスタンスを準備し、構成するプロセスです。

ソフトウェアプロビジョニングのプロセスでは、必要なコンポーネント、機能、依存関係を定義し、それらの要件に適用されるライセンス契約を決定します。

従来のSKU管理とSaaSプロビジョニングにおける課題

多くの企業がSKUに応じてソフトウェアを提供しています。理想的な状況では、プロビジョニングシステム(または担当者)はSKUを使用してデータベースでソフトウェア製品を検索し、適切なインストーラファイルを取得し、インストールプロセスを開始します。

しかし、SKUに対するレガシーアプローチは、大規模なソフトウェアプロビジョニングに必要な複雑さとスピードを考慮していません。

担当チームは、考えられるすべての機能構成に対してSKUを作成しなければなりません。エンジニア、そして製品チームも関与して、各構成とそれがシステム内でどのように適合するかを文書化しなければなりません。運用チームは、顧客の購入履歴をすべて可視化する必要があります。財務チームは、納品時に初めて収益を認識できることから、営業チームがいつ正しいSKUを納品するかを把握する必要があります。顧客が成功体験により別のパッケージにアップグレードした場合、それも反映させる必要があります。

手作業があることで、注文ごとにかかるコストが増加します。また、顧客に製品や機能を正しく、あるいは一貫して提供できなかったり、消費者が期待するセルフサービス体験を提供できなかったりする可能性もあります。さらに、誤ったソフトウェアプロビジョニングは顧客による過剰使用を招き、収益にも影響します。

この課題がこれほどまでに一般的になっている要因

Productivの調査によると、回答者の48%がSaaS SKUの管理とプロビジョニングを主なペインポイント(悩みの種)として挙げています。このような問題がよく起こる理由は次の通りです。

製品イノベーションによる成長。
企業が成長するにつれて、多くの製品を管理し規模を拡大することが難しくなり、在庫を追跡し顧客アカウントを管理するために、より多くのSKUを作成するようになる可能性があります。

市場セグメントの拡大による成長。
さまざまな顧客セグメントのニーズや要件を満たすために新製品の提供やバリエーションを導入することは、SKUの増殖につながります。

時間の経過とともに増える製品バリエーション。
SaaS企業は多くの場合、製品の複数のエディションやバージョンを提供しており、それぞれに異なる機能や特徴があるため、SKUの数が増えることになります。

SaaSのソフトウェアプロビジョニングは、製品がより複雑であることが多いため、特に難しくなります。SKUの数が増えれば増えるほど、その管理も複雑になります。企業が成長し、製品や機能が追加されるにつれ、プロビジョニングの問題は雪だるま式に増えていきます。

製品の複雑さを管理できる自動化されたソフトウェアプロビジョニングシステムがなければ、実行速度は遅くなり、コストが上昇し、ヒューマンエラーが増えることになります。

高成長SaaS企業がソフトウェアプロビジョニングの自動化を必要とする理由

高成長企業は、手動プロセスが収益性を圧迫していることに気づいています 。自動プロビジョニングツールの人気は高まっており、ソフトウェアプロビジョニングの自動化を目指す企業が大幅に増加しています。こうした企業は、是が非でも成長することから、長期的に利益を生む収益成長を達成することへと考え方をシフトしています。

ソフトウェアプロビジョニングの自動化の選択肢

アプローチ1:専用システムを自社で構築する。

このアプローチは、自社専用のソフトウェアプロビジョニングシステムを構築するための資金と人的資源を持つ大手SaaS企業が採用しています。

監査によって、顧客が元々購入したよりも多くのSaaS機能を使用していたために、同社は1億~2億ドル相当の収益を取りこぼしていたことが明らかになりました。新機能がリリースされるたびにシステムはユーザーにそれらの新機能を提供していましたが、その分の追加課金が行われておらず、アップグレードプロセスは導入されていませんでした。同社は株式公開企業であり、その収益を確保できなかったことで多大な負債が発生しました。同社は軌道修正をしなければなりませんでした。その最善の方法は、SKUを管理する新しいソフトウェアプロビジョニングシステムを構築することでした。

同社はソフトウェアプロビジョニングの自動化を最優先課題として 、専用の資金とリソースを持つ社内チームを編成し、外部コンサルタントを採用しました。

こうすることで、同社はプロセスを完全に制御することができました。まさに顧客が必要とするものを構築して現行システムと統合し、社内ユーザーへの影響を最小限に抑えました。

しかし、ほとんどの組織において、このレベルの投資は理想的ではありません。これにはプロダクトマネジャー、エンジニア、IT部門、開発者など、多くの専用リソースが必要となり、コアコンピタンスに注力する能力を削いでしまいます。

アプローチ2:現行システムと統合する既存のサードパーティ製SKUソリューションに依存する。

企業は一般的に、IT部門と連携して、プロビジョニングソリューションをセキュリティ、課金、CRM、eコマースサイトと統合する必要があります。これは通常、既存のCRMを使用し、さらに社内でIT開発を行うことを意味します。この選択肢は、ここ数年で収益1億ドルを達成した企業が採用しています。

同社は、SKU管理をそのために設計されたものではないCRMシステムで処理しようと試みました。既存のプロビジョニングソフトウェアソリューションをカスタマイズし、SKU管理システムとしての役割も担っていたCRMと統合することにしました。

このアプローチは、ゼロから構築するほど集中的なものではないものの、ソフトウェアプロビジョニングシステムの制御が可能です。

しかし、CRMに統合するには、多くの開発労力を要します。自前で構築したシステムと同様、技術を維持する必要があり、そのためには継続的なリソースが必要となります。製品スイートが拡大するにつれて、このシステムを効率的に拡張することは難しくなります。

アプローチ3:サードパーティプロバイダーから、自動ソフトウェアプロビジョニングを含む専用ソリューションを購入する。

この選択肢は、新しい地域でSaaSソリューションの市場投入を目指していた大企業が採用しました。この企業は、以下のような対処しなければならない問題をいくつか抱えていました。

  • 複数のシステムとワークフローを同時にマッピングできるプロビジョニングソリューションを必要としていた
  • 主にディストリビューターを通じて販売を行っているため、流通チャネルを通じて販売とトラッキングをサポートするシステムが必要だった
  • 同社の首脳陣は、ディストリビューターやパートナーがどこでも、どのデバイスでもソフトウェアを購入できるようにしたいと考えていた
  • 顧客の利用情報に関して、信頼できる唯一の情報源を必要としていた
  • 新しい地域での販売に伴って新たに増殖されるSKUのより良い管理方法を必要としていた

この選択肢を利用することで、専門知識を持つパートナーを選び、初めてでも的確に目的を達成することができます。市場投入能力の拡大を可能にする、実績のあるプラットフォームに頼ることができます。また、サードパーティのプロバイダーが容易な導入を支援します。カスタマイズされた最高クラスのクラウドベースのソリューションを利用でき、保守とイノベーションの推進は他の誰かが行います。

新しいテクノロジーを既存のIT環境と融合させる際には、常に課題がつきまとうものです。アプリケーションでトリガー/通知を認識し、オーダーに基づいて指示を出さなければならないため開発者が必要となりますが、労力は最小限に抑えることができます。このアプローチは3つの選択肢の中で最も簡単なもので、リソースをほとんど必要としません。

Sentinelのライセンシングおよびエンタイトルメントプラットフォームにより、新しい製品と機能の効率的なプロビジョニングが可能に

SaaS企業が成長に伴う運用上の課題の解決を目指す場合、エンタイトルメント管理システムによって管理・自動化されたソフトウェアプロビジョニングが適している可能性があります。

エンタイトルメント管理により、トライアル/注文からプロビジョニングまでのプロセスを完全に自動化し、エラーを減らし、迅速に拡張することができます。手作業でSKUを何度も確認する必要はもうありません。

同時に、エンタイトルメント管理ソリューションは、ソフトウェアプロビジョニングを既存のワークフローエンジンと統合するため、ソフトウェアのライフサイクルイベントの追跡に対して唯一の情報源を確保できます。

ソフトウェア収益化を簡素化することで成長を促進

コストの削減、収益漏れの低減、オペレーションの容易化を可能にする新製品を効率よく自由に展開したい場合はSentinelプラットフォームが必要なソリューションかもしれません。