ここ数年、世の中はソフトウェアを製品として考えることをやめ、Software as a Service(SaaS:サービスとしてのソフトウェア)という概念に移行しています。私たちは、デジタル資産とは所有したり取得したりするものではなく、アクセスするものだと考えています。
その重要な要素の一つがエンタイトルメント、つまりソフトウェアアクセスの制限と権利を定義する契約です。
エンタイトルメントとは?
新しい環境下で資産をどのように管理するかを考えるにあたり、まず理解すべき質問は「ソフトウェア資産管理におけるエンタイトルメントとは何か」です。技術分野、特にソフトウェア技術において、エンタイトルメントとは、ユーザーが製品やソフトウェア、アプリケーションに対して持つ特定の権利とアクセスのことです。また、よりなじみのある言葉としてソフトウェアライセンス契約とも呼ばれます。
エンタイトルメント管理システムとは?
エンタイトルメントとは分かりやすい概念ですが、デジタル世界の組織では複雑かつ重要な役割を担っています。エンタイトルメントは仮想空間における財産権です。企業として、自社のデータ、ソフトウェア、アプリケーション、つまり自社財産に誰がアクセスできるかを把握しておきたいと思うのは当然のことです。もしビルを所有していたとしたら、誰がどのように、いつ権利を取得し、利用するかを把握するために、プロパティマネージャーが必要かもしれません。ソフトウェアの場合、ソフトウェアライセンスエンタイトルメント管理システムはそのプロパティマネージャーに当たります。
では、エンタイトルメントシステムとは何でしょうか?ソフトウェアライセンスのエンタイトルメント管理とは、アクセスエンタイトルメント(ライセンス契約、アクセス権、特権とも呼ばれる)を一元的インターフェースから追跡、管理、付与、無効化できる技術です。さまざまなプラットフォーム、アプリケーション、デバイスのライセンス更新、ワークフロー、データアクセスを管理し、エンタイトルメントに関連するITポリシーを合理化します。
ソフトウェアライセンスエンタイトルメント管理システムでできること
新型コロナウイルス感染症の大流行により多くの企業や組織がリモートワークを導入した今日、クラウドコンピューティングとSaaS(Software as a Service)はこれまで以上に重要なものとなってきています。これは必ずしも良いことばかりではありません。オペレーションは物理的な場所に一元化されておらず、ソフトウェアやアプリケーション、データはプラットフォーム、システム、デバイス、ネットワーク全体でアクセスできる状態です。これにより、効率が低下し、データのセキュリティ問題が発生し、収益化しにくくなる可能性があります。しかし、エンタイトルメントアクセスを一元化・効率化し、自社に合ったソフトウェアエンタイトルメント管理システムとは何かを考えることで、この課題を克服することができます。
「エンタイトルメント管理システムとは何か」という問いに対しては、いくつかの基本原則を理解する必要があります。エンタイトルメント管理の定義は、最小アクセスの原則から始まります。これは、承認ユーザーのみがソフトウェアやリソース、データ、アプリケーションにアクセスできることを意味します。 しかし、この厳しい制限が効率を阻害するわけではありません。代わりに、エンタイトルメントアクセスパッケージを利用することで、エンタイトルメントプロセスを効率化することできます。ID、役割、グループ、プロジェクトごとにユーザーをグループ化し、承認するユーザーと彼らがアクセスできるものを定義することができます。IDライフサイクル、アップグレード、通知といった、ソフトウェア運用プロセスの一部を自動化することで、最小限の手間でITポリシーを効率化することができます。
ソフトウェアライセンスのエンタイトルメント管理システムは、収益化プロセスもサポートします。これにより人々がどのデバイスで、どのソフトウェアを使用しているかを把握することができます。このような情報があれば、コンプライアンス管理の一元化と簡素化、より強力な顧客拡大戦略の策定、より多様な収益化モデルの展開が容易になります。
仕組みとエンタイトルメント管理の例
例えば、100人の従業員がいて、全員がSaaS(Software as a Service)システムを使用してリモートで仕事をしている会社向けに、エンタイトルメント管理システムを開発する必要があるとします。一元的インターフェイスを使用することで、役職や役割に応じて、さまざまなニーズを持つ従業員に対して異なるライセンシングおよびアクセスパッケージを作成することができます。このシステムでは、ライフサイクル管理、市場の変化に合わせたソフトウェアの変更、使用状況の自動分析が容易に行えます。また、データを使用して、コンプライアンス遵守、成長促進、更新管理を実現できます。
これにより、この会社の管理者と非管理者の両方が、データセキュリティを維持しながら、役割やID、プロジェクトに基づいてアクセスを許可または取り消すことができます。また、ソフトウェアライセンスのエンタイトルメント管理により、外部ユーザーがライセンス付与されたリソースへの一定期間のアクセスを要求できるため、社外ユーザーとのコラボレーションも容易に行うことができます。アクセスライフサイクルが終了すると、そのユーザーは再び外部ユーザーに戻ります。同様に、従業員も必要に応じて組織内を簡単かつ効率的に移動することができます。彼らは、特定のライフサイクルでグループや役割に追加でき、IT部門の関与をほとんど必要とすることなく、ライセンス付与されたソフトウェアやアプリケーションにアクセスすることができます。これはすべて、物理的な場所に関係なく、複数のユーザーデバイスにまたがって、一元化された単一インターフェースから行うことができます。
エンタイトルメント管理システムにより、従業員は、組織自体や組織内の特定の役割にスムーズに参加することができます。手間なく従業員にIDを付与し、IDとともに業務効率化に必要なライセンス付与済みのソフトウェア、アプリケーション、データへのアクセスを提供することができます。
例えば、社内の開発者が研究開発部門と共同でプロジェクトを進めているとします。開発者は管理者にアクセス権を要求するだけで、研究開発グループに参加し、追加のソフトウェア権限を入手することができます。これにより、研究開発部門の常勤スタッフではない立場でありながらも、プロジェクトに必要なツールやアプリケーションをすべて使用できるようになります。IT部門は、プロジェクト終了後にその権利の取り消しについて心配する必要はありません。ライフサイクルが組み込まれており、期間が終了するとライセンス権へのアクセスは自動的に取り消されます。
このように、この企業ではソフトウェアエンタイトルメント管理によって、新しいノマド的世界におけるユーザーアクセスをより効率的に管理できるようになりました。ITポリシーの導入や、ワークフローの効率化も一元化された単一インターフェースから行うことができ、機密データやライセンス権も保護されます。
社員や外部協力者を含む数千人ものユーザーを抱える組織であれば、その効果はなおいっそう明らかです。
エンタイトルメント管理のベストプラクティス
エンタイトル管理システムの重要性を理解した今、次はその実装方法について考えてみましょう。
スコープの決定
エンタイトルメント管理システムを導入する際にまず必要なことは、プロジェクトのスコープを決定することです。組織のニーズは何なのか?組織で働く従業員数と、組織の構成はどのようなものか?どのようなアクセスパッケージやソフトウェアライセンス契約システムが最適なのか?役割、ID、アクセス権のいずれかに基づいて、従業員をより小さなグループに編成できるか?会社はどのようなサービスを提供していて、サービスの提供を容易にするにはどうすればよいか?
見積り
システムを構築するために、従業員とその役割、またライセンシングのニーズについてリストを作成します。エンタイトルメント管理システムで既に保護されているデータの種類と、様々なエンタイトルメントについてメモを取ります。会社はどのようなデータを扱っているのか?エンタイトルメントで何を保護すべきか - ソフトウェアに対する権利?ディレクトリー?課金?ライセンシング管理ソフトウェアは、どのようにしてデータを保護するのか?
既存アクセス権を調査
リソースアクセス監査:さまざまなグループやIDを調査し、組織が現在どのようにアクセスやエンタイトルメントを管理しているかを確認します。誰が、どのような構成で、何にアクセスできるのか?エンタイトルメント管理システムが最も効率的かつ安全な方法で機能するためには、何を変える必要があるか?
ワークフローとライセンシングパラメータを定義
エンタイトルメント管理システム内には、潜在的に無限数のアクセス構成が存在します。適切なものを見つけるためのカギは、会社のニーズを理解することです。ソフトウェア管理システムの利点の一つは、独自のワークフローを決定し、それに基づいて様々なワークフローパッケージを定義できることです。会社はどのように構成され、それにより人々の働き方にどう影響を与えているのか?従業員は自分の部署にとどまる傾向にあるのか、それとも会社はより動的なのか?会社はどのような経営文化を培っているのか?
例えば、ユーザーエンタイトルメントに適した要求・承認システムを作成することで、組織内の効率を最適化できます。また、役割やIDに基づいて、さまざまなライセンス契約内に特定のライフサイクルを実装できます。これらはすべて、社内のITポリシーと、利用可能なライセンシングエンタイトルメント権利の両方に依存します。
実装
上記の手順を完了すると、エンタイトルメント管理システムを実装する準備が整います。手元に揃ったツールで、より良く、より効率的で利益を生む組織を構築することができます。
強力なエンタイトルメント管理がスムーズなIT運用のカギ
効果的なソフトウェアエンタイトルメント管理システムは、大小規模を問わず、すべての組織にとって不可欠です。管理システムにより、データセキュリティと組織の両方の観点から、サービスとしてのソフトウェアの世界をナビゲートすることの難易度が下がり、ITポリシーが合理化されて、より強力かつ健全で、財務面で堅牢な組織を実現できます。
ソフトウェアエンタイトルメント管理について、また、ソフトウェア使用管理をタレスがどのようにサポートするかについて、タレスのSentinel エンタイトルメント管理システムのページで詳しくご覧ください。
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