SDKライセンスとは?
SDKライセンス(SDK:ソフトウェア開発キット)とは、ソフトウェア開発者がSDKを合法的に購入・使用できるようにするものです。
自社製品を他のソフトウェア製品に簡単に統合したいと考えているソフトウェアベンダーは、開発者に提供するコードを確実に保護するための優れた方法を必要としています。SDKのライセンス付与は、他の種類のソフトウェア製品のライセンス付与よりも複雑です。そのためSDKには、適切な保護・収益化システムを提供する、スマートかつ包括的なライセンシングモデルが必要となります。
さまざまな種類のSDKライセンスについて詳しく見る前に、少し基本事項を確認しましょう。
SDKの意味とは?
SDKはSoftware Development Kit(ソフトウェア開発キット)の略です。 SDKは、既存ソフトウェアを使用して新しいアプリケーションの構築をサポートするために開発者が必要とするツールをすべて含む事前作成コードです。
SDKには通常、コンパイラ、デバッガ、API(アプリケーションプログラミングインターフェイース)が含まれています。また、次のものが含まれている場合もあります:
- ライブラリ
- テスト・分析ツール
- ドライバー
- 文書化
- エディタ
- ネットワークプロトコル
- 開発環境
SDKの例
例えば、あなたがソフトウェア開発者で、親や保育者が周辺地域の遊び場を評価するために使用できる、ソーシャルプレイグラウンドアプリを作成しているとします。ユーザーはアプリに遊び場を追加し、安全性、清潔さ、アクセシビリティ、楽しさに基づいて遊び場を評価するほか、各遊び場の設備機能(器具に適した年齢、設置されている器具の種類など)を書き込むことができます。各遊び場の位置を示す地図をアプリに含めたいとあなたは考えていますが、独自の地図機能の開発は非常に難しく、時間と費用がかかります。さらに、新設道路や新しい交通情報といった変更を反映するために、常にアプリを更新する必要があります。
開発者がすべきことはなんでしょうか?
簡単かつスムーズな解決策は、GoogleのMaps SDKを使用することです。Googleは多大な開発を経て生み出された、更新頻度の高い堅牢なマッププログラムをすでに有しています。さらに、目的地を見つけたり、渋滞を避けるための混雑情報を得るなど、多くの人々がGoogle マップのナビゲーション機能を使用しています。Maps SDKを使用してアプリに地図機能を構築することで、時間を大幅に節約し、Google マップの優れた機能をすべてアプリに統合することができます。ユーザーがレビューに基づいて新たな遊び場に出かけることを決め、現地へのアクセスにサポートが必要な場合に、ユーザーはアプリとGoogleマップ間をシームレスに移動できます。
SDKを作成すべき理由
「飢えた男に魚を一匹与えても一日生き延びるだけだが、魚の取り方を教えてやれば一生困ることはない」という古い格言があります。もしあなたが飢えた男に釣りを教え、漁業を始めるために必要な餌、釣り糸、ネット、その他すべての道具を彼に売ってあげたとしたらどうなるでしょう?彼は、生涯忠実な顧客になるでしょうか?彼は自分自身と養い、さらに、彼の事業があなたを養います。
この例えとしては、富を築いた漁師はソフトウェア開発クライアントで、釣り道具はSDKになります。GGV Capitalのマネージングパートナーを務めるGlenn Solomon氏は、開発者主導のソフトウェアは次の数兆ドル規模のソフトウェアトレンドとなると述べています。技術レベルが非常に低い企業でさえ、優れたアプリを作成することがビジネスの成長につながることを理解していますが、一から多大な開発労力を費やすことは難しいでしょう。SDKを使用することで、開発者は時間、労力、コストを最小限に抑えながら優れたアプリを構築することができます。
そのため、開発者の負担軽減ができる優れた製品を保有している場合、SDKを開発・配布することで、この急成長を続ける業界に参入することができます。
SDK保護
では、あなたが所有する会社がGoogleよりも優れたナビゲーションソフトウェアを開発したとします。あなたの会社が開発したマップを開発者がアプリに追加できるようにしたいなら、開発者にSDKを提供する必要があります。
しかし、会社が努力して作り上げたものを無料で提供したくありません。開発したソフトウェアを収益化するには、SDKの使用権を開発者に販売する必要があります。つまり、SDKライセンスを発行し、そのライセンスに対してユーザーに課金する方法が必要となります。
SDKライセンシングの種類
SDKライセンス管理システムの仕組みとは?
基本的に、他の種類のソフトウェアのライセンス付与と保護に使用されるものと同様のテクノロジーを使用します。SDKライセンスは、開発者がSDKにアクセスし、SDKを合法的かつ承認された方法で使用できるようにする特定のコードです。これがすべてのソフトウェアライセンスの仕組みです。
SDKライセンシングと、その他ほとんどのタイプのソフトウェアライセンシングの主な違いは、SDKには、アプリを構築する開発者と、アプリをダウンロードして使用するエンドユーザーの2種類のユーザーがいることです。この違いは、SDK収益化の選択方法に影響を与える可能性があります。
ライセンスコードは、あなたや顧客のニーズに応じて、さまざまな方法でユーザーに配信できます。
ハードウェアベースのライセンス:USBキーとドングル
一部のソフトウェアベンダーは、USBキーやドングルといった物理ハードウェアを使用してSDKを保護することを選択しています。ハードウェアには、開発者向けSDKをアクティブ化するコードが含まれているため、SDKを使用する場合は常に、ハードウェアをデバイスに接続する必要があります。この方法の利点には、セキュリティと、インターネット接続に依存する必要がないことが含まれます。欠点は、物理デバイスを所有している人のみが使用でき、SDKにアクセスするために使用できるのはキーが接続された1つのデバイスのみと柔軟性に欠けることです。
また、この方法を使用してエンドユーザーの使用状況を追跡することはできません。SDKを使用して開発された製品をダウンロード・使用するエンドユーザーの数に縛られることなく、SDKの使用に対して開発者に課金したい場合は、このモデルが適しています。
クラウドベースのライセンス
他のソフトウェアベンダーは、クライアントのデバイスにダウンロードできるオンラインライセンスを使用してSDKを保護する方が便利だと感じています。このモデルの主な利点は、はるかに柔軟性があり、ハードウェアベースのライセンスを使用する場合には利用できない、さまざまなオプションが含まれていることです。
シングルユースSDKライセンス
このライセンスは、1人のユーザーのみが使用できます。SDKをインストールするたびにクライアントに課金することで、ライセンスを特定デバイスに紐付ける、または、特定資格サインインまたは使用毎サインインする特定ユーザーに関連付けることができます。
同時使用ライセンスまたはフローティングライセンス
このモデルは特に柔軟性があり、クライアントは、同時に使用できる特定数のライセンスを購入できます。例えば、アプリのSDKに携わっているメンバーが開発者チームに5人いるが、同時作業が必要なメンバーは2人だけであれば、2つの同時使用ライセンスを購入することになります。チームメンバーがSDKを使用する必要がある場合、リモートライセンスサーバーからライセンスをダウンロードし、使用が終了するとライセンスを「返却」します。購入したライセンスが全て使用されているときに3人目のチームメンバーがライセンスを要求した場合、1ライセンスが空くまで待つ必要があります。
エンドユースごとの課金
開発者にSDKの使用料を課金する代わりに、SDKを用いて開発したコードを使用するエンドユーザー数に応じて開発者に課金することもできます。これは、開発者がSDKを使用するために支払う金額は、開発者の自社製品の成功に左右されることを意味します。このモデルは、予算が少ない、またはリスクを回避したい開発者にとってより魅力的かもしれません。
開発者ごと、またSDKごとに、適切なモデルは大きく異なります。さまざまなクライアントのニーズに対応するよう、複数のオプションを提供することもできます。
SDKライセンスの例
ナビゲーションソフトウェアの例に戻りましょう。ソフトウェア開発者は、SDKのライセンス付与にいくつかのオプションを検討できます。
例えば、GoogleのMaps SDKではエンドユースごとに課金されます。Maps SDK for Androidは無料ですが、開発者がDynamic Street Viewを使用する場合は、スライド式スケールに応じて課金されます。パノラマオブジェクトのインスタンス化100,000回までは1000回あたり$14、次の400,000回は1000回あたり$11.20です。多量利用を検討する場合は、Googleの営業部門に連絡するよう求められます。
SDKをどのように収益化するか?これは、クライアントのプロフィール、市場、競合、その他の様々な要因次第です。GoogleのMaps SDKは無料でも、Dynamic Street Viewではインスタンス化ごとに課金される場合は、競争力のあるSDKライセンシングモデルを採用する必要があります。これには次のような例が含まれます。
- 同モデルを使用しながら、課金額を下げる
- ニッチなニーズにより適切に対応できる別のモデルを使用する
- Googleが提供していない価値を提供し、それをクライアントに明確に示す
タレス Sentinelが完璧なSDKライセンシングモデルの開発をサポート
SDKのライセンス付与・販売方法の決定は、大きな課題となり、ライセンシングモデルの実装はさらに難しいものになる可能性があります。Sentinel LDK(License Development Kit:ライセンス開発キット)は、SDKの保護、収益の最大化、運用プロセスの簡素化、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現する、包括的かつスムーズなソフトウェア収益化ソリューションを提供します。タレス Sentinelは、どのライセンシングモデルがあなたとクライアントのニーズに最適かを判断し、そのモデルをシームレスに実装することで、収益を増やし、開発製品が生み出すメリットを享受できるようサポートします。
HERTA Security、自社製ライセンシング をジェムアルト Sentinel に換え、 知的財産保護、データ暗号化、 新たな収益モデル構築を達成
通り、あるいは空港、スタジアム、電車の駅のような場所にいる 群衆をスキャンすることによって、安全とセキュリティに脅威を 与える個人を自動的に特定できるソフトウェア技術を想像してくだ さい。人があなたの店に足を踏み入れたら、デモグラフィックスを 即座に特定できて、そのデータを用いてその人固有のニーズを満た し、サービスを向上させるというマーケティングの世界を想像して ください。HERTA社のソフトウェア製品はこのすべてを可能にしま す。自社製ライセンシング システムを、強力な暗号化、より多くの ビジネス モデル...